【法宴豆知識】神道の「ご法事」に当たるもの

「神道でのご法事に当たるものは何?」
と聞かれてとっさに答えられますか?
答えは「お祭り」です。
正確には「神霊祭」と言います。
今日は、神道の「神霊祭」のお話しをば一席。

神道でのご葬儀、いわゆる神葬祭は、…の前に「神道で“ご葬儀”ってのはおかしいんじゃないの?」という方もいらっしゃるかもしれません。

でもこれは間違いじゃないのです。
葬儀とは「死者を弔い葬る儀式」のことであり、何教であれ何宗であれ葬儀は葬儀なのです。

ただ、そこに含まれる考え方には大きな違いがあります。

概ね日本の仏式のご葬儀では「死んだ方が成仏出来る様に」様々な儀式を行います。
禅宗では剃髪して戒を授け仏弟子にし、死者の代わりに勤行や供養を行いその徳によって仏になってもらう…という仕組み。
浄土宗では死者の代わりにお念仏を、日蓮宗ではお題目を唱えます。
では神道では?

神道では、亡くなった方の魂を神として祭り、先祖の霊と共に家の守り神になってもらいます。
神様なので、故人様を慰め祭るために行われるのがお祭りなのです。

いわゆる葬儀は、神道では正確には「葬場祭」と言います。
葬場、つまり葬儀の場でのお祭りだから葬場祭です。
葬場祭において、故人様の御霊は神様の仲間入りをします。

しかし神様になったとは言え、亡くなったばかりの方の御霊は荒々しい状態にありますし、親族は家族を失い気が枯れた(気枯れ=けがれ)状態なので、神棚を封じて物忌み(忌)に入り、故人の霊をお祭りすることに集中します。
これが神道での服喪の期間になります。

葬場祭の翌日に行われる「翌日祭」からが本格的な神霊祭のスタートとなります。
以後、十日祭、三十日祭、五十日祭、百日祭、一年祭と続きます。

五十日祭をもって忌明けとし、神棚封じを解きます。(以後も喪に服す期間として年賀状や祝賀、祭礼などへの参加は控えるものとされてます。)

一年祭をもって服喪を終え、以後は祖霊(祖先の霊)の一員として祭られることになります。
なので以後は「祖霊祭」と呼びます。
祖霊祭は、三年祭、五年祭、十年祭、二十年祭、三十年祭、四十年祭、五十年祭と続き、そのあとは百年祭、二百年祭と百年単位で行われます。(…とされますが、一般的にはせいぜい五十年祭位までではないでしょうか?)

ちなみに、歴史的に見ると、こうした神道での御葬儀は昔から一般的に行われていたわけではありません。
神道ではケガレを嫌います。当然神社などにケガレを持ち込むことは忌むこととされていました。(なので現代でも葬儀はご自宅などを葬場として行われます)
これが広まるキッカケとなったのは、江戸時代の中後期、国学の興隆によって国学者たちが日本古来の精神・文化に立ち返ろうと訴え、日本古来の信仰に基づいた葬儀を求める運動(神葬祭運動)がおこり、明治維新後は、政府の神祇政策の一環として神式の葬儀が奨励されました。

とまれ。

神霊祭・祖霊祭の際のお料理は、精進料理にする必要はもちろんありません。
精進料理は仏教の五戒の一つ「不殺生」の考え方から来たものです。
(でもより厳密に言えば植物だって生きているわけで、肉気、魚気を除けばOKという話では無く、命を奪わなければ生きることが出来ない事を良く理解した上で大切に頂くことが重要で、精進料理はそのシンボルなだけなのですが閑話休題)

故人様が好きだったもの、故人様を偲べるもの、故人様と食べたかったものなどを採り入れたお料理などが良いかと思います。

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